こんにちは。aileRC代表の藤井翼です。
前回のブログでは、中学2年生の頃、怪我や悔しさを経験しながらも、夏の遠征を通して「全国で戦いたい」という想いを抱くようになり、佐久長聖高校を目指すことを決意したところまでをお話ししました。
今回は、いよいよ中学3年生の出来事です。
夢に向かって突き進む1年になるはずだったその年、私を待ち受けていたのは「順風満帆」とは程遠い現実でした。
顧問の先生がいない—部の存続危機
春、新学期。
これまで指導してくださっていた先生が異動になり、代わりに来る先生は長距離経験者だと聞いていたため、私は安心していました。
しかし、実際にその先生は「陸上部の顧問はやらない」と言われました。
全国を目指すかどうか、そんな次元の話ではなく、「陸上部そのものがなくなるかもしれない」という状況に直面したのです。
伝統ある陸上部を守るため、キャプテンや副キャプテンと一緒に、何度も先生に頭を下げました。
何度も話し合いを重ね、やっと顧問になることを引き受けていただくことができました。
しかし、それでも状況は簡単に好転しませんでした。
指導者不在の中で続けた練習
新しい先生は顧問は引き受けてくれましたが、メニュー考案や指導はしてくれませんでした。
なので練習は、先輩たちが残してくれたメニューカレンダーをもとに、私たちで考えて続けていく日々。
時には、他の部活動の先生が手伝ってタイムを取ってくださることもありました。
この時、私は初めて痛感しました。
「指導者がいるということが、どれだけ大切か」を。
正しい方法で導いてくれる人がいないことで、練習の質も雰囲気も大きく変わってしまう。
この経験が、今私がaileRCを立ち上げた原点になっています。
今思えば、この経験が
「専門的な指導を受けられない子どもたちに、自分が成長できる場を提供したい」
そんな思いを抱く理由になりました。
全国大会出場、そして痛感した“全国の壁
そんな厳しい環境の中でも、目標達成に向けて諦めずに練習を続け、
ついに福岡県の予選大会で、標準記録を突破して全国大会出場を決めました。私は当時県内2位という成績で、全国でも戦える——そう思っていました。

しかし、全国の舞台は想像以上でした。
緊張感、空気、選手のレベル…すべてに圧倒され、普段の自分の走りができず、結果は予選落ち。
「自分は福岡県内で有頂天になってただけで、まだまだ全国では敵わないし話にならない」
その現実を突きつけられた瞬間でした。
でも、ここで終わるわけにはいかない。
初心に戻って、また頑張ろうと心に誓いました。

チームの崩壊と、再びの孤独
全国大会から戻ると、チームの雰囲気はガラリと変わっていました。
中体連の県大会などで燃え尽きたのか、半数以上の3年生がやる気を失ってしまったのです。
しかも本来なら主力となるメンバー達ばかりでした。
やはり指導者の存在が大きく左右した瞬間でもありました。
しっかり指導をしてくれる指導者が居れば雰囲気は維持できたのかもしれません。
私は全国大会後から貧血にも悩まされ、なかなか走れない日々が続きました。
駅伝のシーズンを前に、真面目に練習を続けていたのは1・2年生と、数少ない3年生だけ。
何とか駅伝には出れる程度でした。
市の駅伝大会では、6連覇中だったチームが4位。
県大会は10位。全国大会には届きませんでした。

「自分の代で、歴代の先輩たちが積み上げてきたものを終わらせてしまった」
その悔しさと申し訳なさを、今でも覚えています。
最後の希望、都道府県対抗駅伝
そんな中、私の心を奮い立たせてくれたのが、都道府県対抗駅伝でした。
夏以降、体調も少しずつ戻ってきて、福岡県の選考会ではしっかり結果を出すことができ、2枠しかないメンバーに選ばれました。
「駅伝では悔しい思いをしたけど、ここで全国の舞台を走る」
そんな決意を持って臨んだ大会でした。
当日は同じ佐久長聖に進学する予定の他県の選手が同じ区間で区間新記録を出していたこともあり、
「自分はこの選手たちと4月から同じチームになるのか」と思うと、不安以上にワクワクしていたのを覚えています。
この大会で福岡県は5位入賞。
私は区間7位で5位をキープしてアンカーの実業団選手に襷を繋ぎました。
ここで中学生としての陸上生活に、ひとつの区切りがつきました。
中学3年間を振り返って
思い通りにいかないことの連続だった3年間。
それでも、私にとってかけがえのない経験になりました。
理不尽なこと、苦しいこと、悔しいこと、でもその中に確かにあった学び。
思い通りにいかないことだけでなく、目標に向かって諦めず努力を続けることの大切さや周りの支えてくださった方々への感謝の気持ちなど。
今、私は指導者として活動する中で、中学生の頃のあの感情がよみがえる瞬間があります。
「伸び悩んでいる選手の支えになってあげたい」
「成長のチャンスやきっかけを、もっと多くの子どもたちに届けたい」
その思いは、これからもaileRCの活動の原動力です。

次回は、いよいよ佐久長聖高校への進学。
環境の変化、初めての寮生活、そして全国レベルのチームで味わった、自分の未熟さと向き合う日々を綴ります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。